用途に応じて使い分けよう
AR技術は情報を表示させたい場所を特定することが土台となります。位置情報は周囲環境と自分の位置から判断され、AR情報を表示する場所を設定します。特定の場所に情報を表示させるための技術はいくつかあり、それぞれ特徴が異なります。
「ビジョンベースAR」は画像や空間を認識して情報を表示する技術です。ARマーカーというコードを読み取るタイプを「マーカー型」と呼び、比較的簡単に情報を表示することができます。そのため、小規模な企画や個人で利用したい時に適していますね。マーカーは使用するライブラリやエンジンに依存しているので、OSSが公開されている状態だと利用しやすいですよ。ただ、あらかじめマーカーを配置しておく必要があるので、範囲にはある程度の制限が生まれます。
特定のマーカーがなくてもイラストや建造物などをマーカーとして認識する「マーカーレス型」もあります。マーカー型と同じく特定のオブジェクトを基に判断するので、ビジョンベースARに分類されます。マーカーレス型は様々なオブジェクトに情報を表示できる一方で、背景が変化するとマーカーとして機能しなくなってしまうので、事前に環境を確認してから設定しなければなりません。また、処理する情報量も多くなるので通信環境が悪い場所だと上手く表示されないというリスクもありますよ。
「ロケーションベースAR」はGPSで取得した位置情報を基に情報を表示する技術です。周囲の環境に影響を受けることなく、あくまで位置という情報を基にARを紐づけるため、環境変化に強い点がメリットですね。ARマーカーを配置するのが難しい場所や広範囲で複数のAR情報を表示させたい場合に効果を発揮します。具体例を挙げるとすれば、周遊型のゲームや観光案内アプリなどがこれに該当しますね。ただし、大規模なAR企画を可能とする一方で、複雑な処理が必要になります。また、周遊しながらデバック作業を行うので開発コストも高くなります。なお、簡単な機能であれば専用のライブラリがなくても位置情報を活用できますよ。
上記で紹介したビジョンベースARとロケーションベースARはそれぞれ別の技術ですが、併用することも可能です。大まかにいえばビジョンベースARは印刷物や屋内の表示に優れており、ロケーションベースARは屋外の表示に適しています。そのため、それぞれの利点を融合したサービスやゲームを開発する際にはどちらの技術も必要となるわけですね。
インプットとアウトプットは、ARアプリ開発のアイディアを生み出すために欠かせません。具体的には、読書、他者と意見交換をするブレーンストーミング、紙に自身のアイディアを書き出していくペーパープロトタイピングがあります。
AR技術を搭載したアプリはすでに様々な分野からリリースされています。例えば、幅広い層のユーザーから人気の「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」も、AR技術を組み込んでいるんですよ。
ARは「Augmented Reality」の略で、日本語にすると「拡張現実」という意味です。現実世界の情報に新たな情報を追加して世界を拡張することができる新技術であり、大きな注目を集めています。